『麗気記』の著者について ※2019.9.9更新

神道・神仏習合

『麗気記』は神仏習合の代表的な論書です。
『麗気記』は「れいきき」、あるいは「まことをおほしめさるるき」とも読みます。

著者には諸説あり、聖徳太子説、役行者説、弘法大師・空海説、伝教大師・最澄説、醍醐天皇説があります。

弘法大師・空海説

十八巻からなりますが、巻末の「豊受大神宮継文」は本来『麗気記』とは無関係で江戸時代に添加されました。
この「豊受大神宮継文」に「沙門空海撰」とあったため、『麗気記』全体が弘法大師作と一般に伝えられたようです。
寛文十二年(1672)刊の版本にも「沙門空海撰」とされてます。
『弘法大師全集』第五輯に『麗気記』が収められています。

醍醐天皇説

『神仏一致抄』には、天照皇大神が神泉苑の善女龍王として現じ、醍醐天皇に灌頂の次第を詳しく教え、その内容が「麗気十八巻」に記されたと伝えています。

『降臨次第麗気記』の巻末には

龍神の指南に依りて記す所、此の如し

とあります。

役行者と空海と最澄と醍醐天皇の共著説

『麗気記私抄』には、「役行者と弘法大師と伝教大師と延喜の帝と四人の御作也」とあり、役行者と空海と最澄と醍醐天皇の共著であると記されています。

さらに、醍醐天皇が「竜神の指南」によってこれを記したともあるので、役行者と空海と最澄と醍醐天皇がそれぞれ記したものを醍醐天皇が十八巻にまとめたと読めます。
この説は『麗気記』が同じ事柄に対して、巻によって異なる解説がなされる理由として納得できるものです。

 

 

 

詳しい解説で非常にわかりやすい良書です。
全十八巻中、最初の六巻が翻訳されてます。
何とか続きを出版していただきたいものです。
校註解説・現代語訳 麗気記〈1〉 (大正大学綜合仏教研究所叢書)

 

 

 

神仏習合とかよくわからない人にはこちらをおすすめします。
神道とは何か – 神と仏の日本史 (中公新書)

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