『天地麗気記』解説2 国常立尊(クニトコタチ)=大毘盧遮那仏(大日如来)

神道・神仏習合

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【書き下し文】神財の戦具は、十種の玉神鏡神本霊(みたまのみたまのみたまのみことのもとのみたま)、本(はし)めて覚れば、天国(あまくに)の璽(しるし)・地神の印、百宝千宝は百大僧祗劫の劫数にして無量無数劫も変らず常住にして、三種の神物は我が五世の時に余れる置(ことな)し。
是も以て尊重(みこととおも)く為して、相並びて崇敬(あかめうやま)い奉るべき本の御霊(みたま)は金色の如意宝珠、浄菩提心の宝珠と為る。
是、国常立尊(くにとこたちのみこと)の心神(みたまのみたま)にて、本有の満字の御形文也。
法中の大毘盧遮那仏なり。

【現代語訳】神宝の武器、十種類の玉や鏡などの神霊は、もともと覚っているので、天つ国の御璽、地神の印として、その無数の宝は、永劫の時間の中でも変わらず常住し、三種の神器が我ら地神五代の世にもなお存在している。
そうであるから、尊(みこと)として尊重し、並べて崇敬すべき本来の御霊は、金色の如意宝珠であり、浄菩提心の宝珠である。
これは国常立尊の魂であり、本有にして円満なる御形である。
法界の中の大毘盧遮那仏である。

金色の如意宝珠=国常立尊(クニトコタチ)=大毘盧遮那仏(大日如来)

【書き下し文】此の仏の生身の所に、五百の執金剛神、左右に侍立して、常恒三世に護衛す。
此の五百の執金剛神、各五百の金剛神有り。

【現代語訳】この仏が生身としてこの世界に姿を現わすと、まわりに五百の執金剛神がいて、過去・現在・未来に亘っていつも護衛している。
この五百の執金剛神には、それぞれに五百の金剛神がいる。

 

【書き下し文】各ハサラヒリ(伐折羅)・ラ(螺)・キタラ(白杖)・タランシャハシャケイ(無量般若篋)・タランシャシンタマニ(無量真陀羅尼)・タランシャヒリユシャシキタラ(無量百僧衹戦具)・タランシャマニマニマカマニ(無量摩尼摩尼摩訶摩尼)・タランシャレイレイ(無量鳴物)等を持し、重々の層縷・重々の堺内・重々の堺外に、外仙番々に之を守り、星宿夜々(よよ)に、之に坐(ましま)す。

【現代文】これらの神は皆、伐折羅・螺・白杖・無数の般若篋・無数の真陀羅尼・無数の戦具・無数の摩尼摩尼摩訶摩尼・無数の鳴物などを持っている。
大毘盧遮那仏が住む荘厳な宮殿と三界の内外を幾重にも、神々が代わる代わる守護し、星も輝く夜もずっといるのである。

【書き下し文】のカタカナの原文は梵字です。

【書き下し文】精進の仁(ひと)に福を付せしめ、穢悪(えお)の者には罰を蒙らしむ。
是を神(みたま)の神(みこと)と名ずく。
亦、天地鏡と名づけ、或いは辟鬼神(へききしん)と名づく。

【現代文】それらは、精進している人には福を、穢悪の人には罰を与えている。
これを「神の神」と名付け、また天地鏡と名付け、あるいは辟鬼神と名付けるのである。

『天地麗気記』解説3につづく

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