『ヨーガ大全』のヴァーストゥ・プルシャ カンリトゥカル エローラ

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※音声の文字起こしなので話し口調になってます

はい、こんにちは、天照寺です。
昨日、本をとばし読みしてたら、
チベットのカンリトゥカルで聞いたこととか、インドのエローラ遺跡で思ったことを思い出したので、今日はその話をしたいと思います。

私は本をよく買うんですけど、買った本を全部、読んだわけではなくて、
読んでない本が結構たまってるんですね

なぜ、まだ読んでないのに次の本を買うんだという人がいますけど、
仏教書とか学術書のたぐいは再版されないことが多いので、今すぐに、読みたい本ということでなくても、発売されるとすぐに買うようにしてるんですね。
それで、まだ読んでない本がかなりたまってる状態です。

その中で、今日、お話しするのは、伊藤武さんの『ヨーガ大全』という本です。

この本は最初から順に読んでいかないと読めない本ではなくて、項目ごとに3pとか6pくらいの短い解説がつづく本なんですね。
それで、パラパラめくって興味がある項目があると読むというような読み方です。
それで、目についたのがヴァーストゥ・プルシャっていう項目なんで、冒頭部分をかいつまんでご紹介します。

ヒンドゥー教のシヴァ神の寺院の場合は、その内陣にリンガといって男性器をかたどった御神体がまつられていることが多い
そこにサフランを溶いた黄色というかオレンジ色みたいな液体とかミルクとかをそそいで、供養するんですが、
リンガに注がれたミルクとか聖水を本堂の外に流しだすための排水溝が女神の肛門だというんですね、
伊藤武さんがインドの寺院建築のテキストで確認されたそうです

寺院の中が女神の体内だというのは、以前どこかで、聴いたような気がしますけども、
排水溝が肛門だというのは、初耳というか初見でした。

これ読んだとき思い出したのが、チベットの聖地でありますカンリ・トゥカルに行ったときのことです。
カンリ・トゥカルというのはチベット仏教ニンマ派の聖地で、私の師匠のケツンサンポ・リンポチェがお若いころに修行された聖地でもあります。
そこにシュプセ・アニ・ゴンパという尼寺がありまして、
そこの尼さんがカンリトゥカルの説明をしてくれたんですね。
日本でも多くの山がご神体ですけども、「カンリトゥカルはドルジェパクモという女神の身体」なんだという
日本とちがうところは、カンリトゥカルあの少しふくらんだ部分が女神の胸だとかお尻だとか、身体の部位がいろんな山の部位に配当されてます。それで、そのご神体に流れてる河が女神の小便だとか、そういうことまで決まってるんです。

私はインドのヒンドゥー教の寺院で一番いいなって思ったのはエローラなんですが、
カイラーサ・ナータ寺院ってのは、ひとつの寺院もそこに祀られている神々もすべて一つの岩山から掘り出したもので、すばらしいですね
やはりタントラ全盛期に建築されただけあって、ヒンドゥーの神々がチベット仏教のヘーヴァジュラのように顔や腕がたくさんある男女の神が抱き合った姿で踊ってるようなポーズをしてるんですね。
それが足元が土に埋まっているから土の中からユラユラと躍り出てきたかのような感じで見えるんです

そこの本殿に入るとまず入り口に両手で自分の胸をわし掴みにした女神のレリーフが彫られててですね、女性の性を前面に押し出した形で目に飛び込んでくるんですね。
これは強力な女性性、性的なエネルギーのメタファーだと思われますね。
しかし、その女神はかかとをしっかりと自分の会陰部に押し当てた形ですわってるんです。
この座り方は、性のエネルギーを完全に制御してる、コントロールしてるという座り方です。

そんな入り口を通って奥に行くと内陣に大きなリンガが鎮座しておられます。

リンガにミルクなどを灌ぐとヨーニから流れ出て、排水溝に流れていくようにできてるんです
外にまわると、排水溝の周りもしっかり彫刻されていたので、そこも重要な意味付けがあるのかなと思っていたんですね。
それが、『ヨーガ大全』で一つの答えに導かれたような気がしました。

では、よい一日を
南無大師遍照金剛

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