ラオス ルアンパバーンにて 2
真上に昇ったルアンパパンの太陽の日差しはオゾンホールのそれと同じくらい厳しかった。 宿の一階にはプラスチックのテーブルとイスが並び、食事できるようになっていた。 注文を取りに来た女の子が、申し訳なさそうに停電なので扇風機が使えないことを私に伝えた。 今日は学校行かないの? 「今は夏休み」 道の遠くのほうに蜃気楼が見える。 道路が濡れて見える。 本当は濡れていないのかもしれない。 でも、本当に濡れてるか否かは、あの場所に行ってみないとわからない。 実際、直接に認識するまでは、認識されるもの ...
ラオス ルアンパバーンにて 1
西の空がまだ暗い時間に私は、外に出た。 オレンジ色の衣を着た僧侶のとてつもなく長い行列が、いつか見た夢のようでまるで現実味のない朝だった。 ここルアンパパンはラオスの小さな田舎町だが、町全体が世界遺産に登録されている珍しいところだ。 私は夢見心地で僧侶の鉄鉢に食事を施した。 僧侶の唱えるふわふわとした経文が幻想的に聞こえる。 私はこの町の中心近くにある小さな丘へと歩いて行った。 寝起きの階段はつらいかったが、丘の上から見る朝の町は絶景だった。 碁盤の目のような路地にはびっしりとオレンジ色 ...