月別アーカイブ:2020年10月
『坐禅三昧経』11「第二 瞋恚を治するの法門」2
はじめての方は『坐禅三昧経』1からどうぞ 『坐禅三昧経』10のつづき 問いて曰く、 「親愛・中人、楽を得せしめらるるを願うも、怨憎の悪人、云何が隣愍して復た楽を与うるを願うや」と。 答えて曰く、 「応に彼れに楽を与うべし。 所以は何ぞ。 其の人、更に種種なる好き清浄なる法因有り。 我れ今ま云何が豈(あ)に一怨を以ての故に其の善を没すべけんや。 復た次に思惟するに、是の人、過去世の時に、或いは是れ我が親善ならん。 豈に今まの瞋を以て更に怨悪を生ぜしめんや。 我れ当に彼れを忍ぶべし。 是れ我が善利なり。 又た ...
『坐禅三昧経』10「第二 瞋恚を治するの法門」1 慈もて怨憎に及ぼせよ
はじめての方は『坐禅三昧経』1からどうぞ 『坐禅三昧経』9のつづき 第二 瞋恚を治するの法門 若し瞋恚偏多ならば、当に三種の慈心の法門を学ぶべし。 或いは初めて行を習し、或いは已に行を習し、或いは久しく行を習するなり。 若し初めて行を習せば、当に教うべし。 言わく、「慈もて親愛に及ぼせよ。云何(いかん)が親に及ぼし、親(しん)に楽(らく)を与(あた)うるを願うや。 行ぜる者、若し種種なる身心の快楽を得、寒き時に衣を得、熱き時に涼しきを得、飢渇すれば飲食(おんじき)を得、貧賤なれば富貴を得、行、極まるの時 ...
『坐禅三昧経』9 「第一 貪欲を治するの法門」2 浄観も亦た三品有り。若し禅定を得ば、即ち三相あり
はじめての方は『坐禅三昧経』1からどうぞ 『坐禅三昧経』8のつづき 復た次に浄観も亦た三品有り。 或いは初めて行を習し、或いは已に行を習し、或いは久しく行を習すなり。 若し初めて行を習せば、当に教うべし。 言わく、「皮を破するの想を作し、不浄を除却して、当に赤き骨人を観ずべし。 意を繁して観行し、外念あらしめず。 外念の諸縁は、念を摂して還らしむ」と。 若し已に行を習せば、当に教うべし。 言わく、「皮肉を却(しりぞ)けて尽くるを想し、頭骨を観じて、外念あらしめず。 外念の諸縁は、念を摂して還らしむ」と。 ...
善無畏『無畏三蔵禅要』全文
善無畏三蔵(637-735)は、真言密教における伝持の第五祖であり、『大日経』を唐に伝え、弟子の一行禅師らと共に漢訳しました。 『無畏三蔵禅要』は、善無畏三蔵が、嵩山(すうざん)会善寺の敬賢(660-723)に、戒と禅定について説かれた教えを西明寺慧警が記録し、後に、さらに修補されたといわれます。 修補したのは、一説に一行禅師ともいわれます。 弘法大師が御請来されました。 敬賢和上は北宗禅の祖・神秀(606-706)の弟子です。 南宗禅は頓悟といって段階を経ずに一気に悟るという教えなのに対し、北宗禅は段階 ...
『坐禅三昧経』8 「第一 貪欲を治するの法門」1 不浄観
はじめての方は『坐禅三昧経』1からどうぞ 『坐禅三昧経』7のつづき 第一 貪欲を治するの法門 「婬欲の多き人、不浄観を習(しゅう)せよ。 足より髪に至るまで、不浄充満す。 髪・毛・爪・歯・薄皮・厚皮・血・肉・筋・脈・骨・髄・肝・肺・心・脾(ひ)・腎・胃・大腸・小腸・屎・尿・洟(はなみず)・唾・汗・涙・垢・坋(ちり)・膿・脳・胞・胆・痰水・微膚・脂肪・脳膜、身中の是くの如きは種種の不浄なり。 復た次に不浄漸(すす)まば、青瘀(しょうお)し、膖脹(ほうちょう)し、破爛し、血、流れて塗漫(ずまん)し、臭膿、噉食 ...