しとしと、という音の中で、目が覚めた。
雨の臭いがする。
目を開いても、闇の中にいることに変わりはなかった。
「夢」の修行をしているときは一晩で十回以上、夢を見る。夢が途切れるたびに目が覚めるので、行中は慢性的な寝不足である。
つい先ほど見ていた夢を辿っていく。
夢の中の風景を忠実に再現していく。
青い海と白い砂浜。
椰子の木陰。
小さな仏像。経典。数珠。
夢の中の私自身。
私は、夢の中でも昼間行っていた瞑想を行じていた。
違うのは、カビ臭いコンクリートの部屋か、南の島の白い砂浜かということだった。
自分と夢の中の自分とをゆっくりと溶け込ませていく。
真冬の朝、張りつめた空気の中でゆっくりと吐いた白い吐息が、窓ガラスをやわらかく曇らせていくように。
私は再び、白い砂浜にいた。