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自己紹介 ネパールで修行するまでの経緯

ネパールでの修行などは、いろいろなところでお話ししてきましたが、なぜ、そこで修行することになったのかという経緯を聞きたいと言われることがあるので書いてみました。  あのとき以来、私は一貫して心の探究に、人生を費やしてきた。なぜならば、あのと...
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インド デリーにて

「日本人、コレ買ウ、コレ」  タイガーバームと万能ナイフを入れた箱を片手に、目つきの鋭い男が必要以上に近づいてきた。  いらないよ。 「高クナイ。買ウ、コレ?」  いらないよ。  男は急に小声になって言った。 「ちゃらーす買ウ?ちゃらーす?...
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インド ヴァラナシにて 5

数ヶ月かけて南インドとスリランカを一周した後、私は再びヴァラナシへ戻ってきた。  牛と人とゴミだらけの町。  ところどころ牛糞が放置されている路地を宿へ向かう。  宿のオヤジは私の顔を見ると目を見開いて見せた。 「元気?ネパールはどうだった...
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インド エローラにて

自らの豊満な胸をわしづかみにする恍惚の女神。  胸と、両手と、顔が崩れ落ちた彫像を前に私はそのような女神をみた。  カイラーサナータ寺院の入り口に浮き彫りにされたその女神は、この黒い寺院の思想を強く訴えている。  女神は蓮の花の上で蓮華座を...
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インド クイロンにて

南インドを流れる水路を、船はゆっくりと進んでいく。  ところどころには木々が途切れた場所があり、民家や学校があった。  船を見ると、子供たちは手を振った。 「ワーオ!」  近くにいたアメリカ人のヒッピーが大袈裟に感動してみせた。  おだやか...
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インド バルカラにて

水平線が視界いっぱいに伸びていた。  断崖絶壁の上から見渡す海は、どこまでも碧かった。  私は崖の上を北へ歩いていた。  店や屋台がなくなり、ヤシが林立する斜面を降りてゆく。  遠くから、男たちのかけ声が聞こえる。  ヤシ林の向こうに、白い...
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インド カーニャクマリにて

真っ黒で、ごてごてした体にぎょろりとした白目。南インドの寺院に祀られた神像の中で印象に残った神は、ほとんどが真っ黒だった。  インドの宗教画に描かれる写実的な神々とはまったく違う、限りなく抽象的で原始的な神々。  像によっては真っ赤な舌を出...
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インド ポンディシュリーにて 2

インドが植民地だった昔、ポルトガル人が造った街、ポンディシュリー。  この街はインドらしくなかった。  街の中心に公園があって、そこから放射状に道路が延びている。円形の道に囲まれた円形の街だ  私は一旦、円の中に入り、中心へと向かった。  ...
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インド ポンディシュリーにて 1

ごつごつした大きな岩に波の塊が激しく砕け散った。岩はビクともしないが、波は繰り返しぶつかっていく。  飛び散る波しぶきが、時折コーヒーカップの中にまで飛んでくる。  カフェは、大きな黒い岩がごろごろと転がる波打ち際に一軒だけ、ぽつんと建って...
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インド マハーバリプラムにて 2

海岸寺院のすぐ横の地面に彫られたヨーニ(女神の女陰)を覗いた瞬間、この小さな寺院が巨大な隠喩の集合体に違いないと直感された。  ヨーニの直径は一メートル半位、深さは八十センチ位ある。  この内側にさらに小さなヨーニとリンガ(シヴァ神としての...
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インド マハーバリプラムにて 1

私は南インドを放浪している間、たびたび人気のない砂浜で瞑想した。  波の音は不規則なので海辺は瞑想に向かないと言う人がいるが、しばらく座っていれば波の音などまったく気にならなくなる。  むしろ、日本の行者は役行者や弘法大師の昔から、渓流や海...
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インド カルカッタにて 2

カルカッタの博物館は、死と退廃に満ちていた。  大量の虫の標本は、劣悪な保存状態のため変色し、薄い羽が破れ落ちたりしている。標本と言うよりも、ガラスケースに虫の死骸を並べたといったほうがふさわしい。  インドでは、日本よりも命が格段に軽く扱...
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インド カルカッタにて 1

私はその日、マザーテレサが設立された「死を待つ人の家」にいた。  リーダーが、今朝集まったボランティアたちに仕事を振り分ける。  リーダーはドイツ人だったが、ドイツ人はリーダー一人だった。  十六人いたボランティアの半分は日本人だ。  私は...
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インド 霊鷲山にて

霊鷲山は小さな山だった。  岩石が屹立した山頂部分が鷲に似ているから、霊鷲山といわれたとも、鷲がたくさんいた山だから、そう呼ばれたともいわれている。  灌木がとりまく、岩がごつごつと剥き出した乾いた道を、私は歩いていた。  小さな洞窟が、参...
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インド ラージギールにて

ラージギールは仏典に出てくる王舎城だ。カビくさい安宿のベッドに荷物を置くと外に出た。  この町は埃っぽかった。  認識されるもの、すべてが埃をかぶっていた。  十字路の角のチャイ屋の前で、プラスチックの椅子に座った。  老人は何も言わず、し...
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インド ラージギールへ

荷物と一緒にバスの屋根によじ登った。  屋根の上にいる私を振り落とそうとするようにバスは急発進した。  私は凍り付くような風にこわばった指で、荷台の冷たい鉄パイプを握り続けていた。  私は何度かインドに来て、この路線を走るバスに六度乗った。...
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インド ヴァラナシにて 4

私は、その日もガンガーのガートに座っていた。  ガートとは川岸に設置されている階段のことで、洗濯や沐浴の場となっている。  河は、昨日と同じように流れていた。  おばさんたちが、隣のガートで洗濯している。色鮮やかな原色のサリーが眩しい。  ...
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インド ヴァラナシにて 3

視界の隅に人影が映った。  振り返ると同時に、異形の男が飛びかかってきた。  見開いた眼球は、鮮やかな動脈血であふれている。眼球が血の色に腫れ上がり、今にもこぼれ落ちそうだ。  盲目の男は私の肩口にしがみついて、唾を飛ばしながら叫んでいる!...
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インド ヴァラナシにて 2

祠の横に座っていた男と目があった。瞳孔が開きっぱなしの黄ばんだ眼球。  男は立ち上がった。  妙に痩せているのは覚醒剤かヘロインか。  男がひょこひょこと歩いてきた。ここの住民の大半は不健康に見える。  男は小汚い顔を容赦なく近づけた。男の...
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インド ヴァラナシにて 1

南へ向かってきたガンジス河の流れが、ヴァラナシでは北へ向かっていく。  インドの人々は、単純に大地の高低からこのようなことが起こっているとは考えなかった。  ここにはただならぬ神の力が働いており、ここで死ぬ者は解脱するといわれている。  ヴ...