神道・神仏習合 諸神本懐集

『諸神本懐集』15 宝応声菩薩=観音菩薩、宝吉祥菩薩=勢至菩薩

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『諸神本懐集』14のつづき

この二菩薩、ともにあひはかりて、第七の梵天にむかひ、その七宝をとりて、この界に来至、日月星辰、二十八宿をつくりて、天下をてらし、春秋冬夏をさだむ。

ときに、ふたりの菩薩あひかたりていはく、「日月星辰、二十八宿の西へゆくゆへは、一切の諸天人民ことごとく、ともに阿弥陀仏を稽首したてまつるなり。

ここをもて日月星辰みな、ことごとくこころをかたぶけて、かしこにむかふゆへに、にしにながるるなり」といへり。

このなかに、宝応声菩薩といふは、観音すなはち日天子、宝吉祥菩薩といふは、勢至すなはち月天子なり。またもろもろの星宿は虚空蔵菩薩なり。

これまた浄土の二十五の菩薩のひとつなり。

弥陀を念ぜば三光天子の加護にあづからんこと、うたがふべからず。

いかにいはんや人間において、現証あらたなること日月星辰にすぎたるはなし。いまこの界にむまれて、黒白をわきまふることは、しかしながら日月の恩なり。

かれ、すでに観音・勢至の化現なれば、弥陀如来分身の智慧にあらずといふことなし。

このゆへに、念仏を行ずるひとは、別していのらざれども、かならず日月のめぐみにあづかるゆへに、今生には福楽をえ、後生には浄土に生ず。念仏を信ぜざるひとは、別していのれども、ついに日月のめぐみをかうぶらず。

かるがゆへに、現世には冥加なく、後生には悪道におもむく。

しかれば、神明・権現の利益にあづかり、日月星辰の擁護をかうぶらんとおもはば垂迹の利生にとどまらずして、本地の素意をあふぐべし。

本地をあふぐとならば、ただもはら弥陀に帰したてまつるべし。

弥陀を念じたてまつれば、おのづから十方三世の諸仏菩薩、乃至一切の神紙・冥道、日月星辰を念ずることはりあり。

されば、かへすがへすも神明の本意をたづぬれば、まよひの衆生に縁をむすびて、やうやく仏法に帰せしめて、ついに西方の浄土に、おくりとづけんとなり。

釈迦・弥陀二尊よりはじめて、十方一切の諸仏菩薩、こころをひとつにし、はかりごとをめぐらして、かたがたにひかりをやはらげ、ところどころにあとをたれて、衆生の利益したまふなり。

されば一切衆生のひとりなりとも、娑婆にあらんかぎりは、われ、もとの浄土へかへらじ

。衆生ことごとく仏道にいりなんのち、われも本覚にかへらんと、ちかひたまへり。

ここにしりぬ、あゆみをはこばず、別してつかへずとも、浄土をねがひ、弥陀を念ぜば、大明神のためには、忠あるひとなり。

衆生、菩提におもむかば、かみもかへりて不退のたのしみをえたまふべきゆへなり。

たとひこころざしをぬきいで、社檀にまふづとも、後世をしらず、弥陀を念ぜざらん人は、大明神のためあだとなる人なり。

衆生、生死をはなれずば、かみもひさしく娑婆にとどまりて、三熱の苦をうけたまふべきがゆへなり。

しかるに、とき末法にいたり、衆生邪見ににして、悪を修するものは十方の大地よりもおほく、善を修するものはつめのうへのつちよりもすくなし。

たまたま仏道をもとむるひとも、ただ諸善の利益にこころをそめて、まことに弥陀の利生をばあふがざるゆへに、機と教と相違して、まことに生死をいづるひとは、まれなるべし。

このゆへに、応化の神明等も、済度のむねをこがし、利生のたもとをしぼりたまふものなり。

諸行をさしおきて念仏に帰するは、難行道をすてて易行道にうつるなり。

末代相応の法なるによりて、決定往生の益をうべきがゆへなり。垂迹にとどまらずして、本地をあふぐは、神明の本懷をたづね、権現の本意を信ずるなり。

神明のまことの御こころは、垂迹をあがめられんとにはあらず。

衆生をして仏道にいれしめんとおぼしめすがゆへなり。

本地の仏菩薩は、ことごとく弥陀一仏の智慧なれば、弥陀の名号を称するに、十方三世の諸仏をのづから念ぜられたまふ。

諸仏菩薩、念ぜらるるいはれあれば、その垂迹たる諸神みな、また信ぜらるること、その理必然なり。

されば念仏の行者には、諸天・善神かげのごとくにしたがひて、これをまもりたまふゆへに、一切の災障自然に消滅し、もろもろの福祐もとめざるにおのづからきたる。

現世安穏にして、後生にはかならず浄土にいたり、長時永劫に無為に法楽をうく。究竟して、かならず菩提をうるなり。

まことにこれ無明のくさりをきる利剣、煩悩のやまひを治する良薬なり。

釈尊はこれがためにことばをはきて讃嘆し、諸仏はこのゆへにしたをのべて証誠したまへり。

仏陀の擁護にあづかり、神明の御こころにかなはんとおもはんにも、ただねんごろに後世菩提をねがひて、一向に弥陀の名号を称すべきものなり。

諸神本懷集 末

『諸神本懐集』はこれで完結です。

 

 

 

 

 

 

 

※【本文】は、日本思想大系〈19〉中世神道論によりましたが、読みやすさを考慮し、カタカナをひらがなに改めました。

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