『坐禅三昧経』6 是くの如く種種なるは、是れ瞋恚の相なり。

仏教・瞑想

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『坐禅三昧経』5のつづき

瞋恚の人の相は、憂悩多く、卒暴に忿(いか)りを懐き、身口麁廣(しんくそこう)にして、能く衆苦を忍び、事に触れて可ならず。

愁(うれ)い多くして歓ぶこと少なく、能く大悪を作して、憐愍の心無く、喜びて闘訟(とうしょう)を為す。

顔貌毀悴(きすい)して、皴眉眄來(しゅうびべんらい)なり。

語り難く悦び難く、事(つか)え難く可とし難し。

其の心、瘡(そう)の如くして、人の義に闕(か)くるを宣(の)べ、論ずること強梁(ごうりょう)にして折伏(しゃくぶく)すべからず。

傾動すべき難く、親しみ難く、沮(はば)み難し。

毒を含みて吐き難く、誦を受けて失わず。

能(あた)うこと多く、巧みなること多く、心、懶墜(らんだ)せず。

事を造すに疾速にして、望みを持ちて語らず。

意、深くして知り難く、恩を受けて能く報ゆ。

又た能く衆を聚(あつ)めて自ら人に伏事し、敗沮(はいそ)すべからず。

能く事を究竟して、千乱すべき難く、難を畏るるところ少なきこと、譬うるに、師子の屈服すべざるが如し。

一向して廻(めぐ)らず、直(なお)く造(いた)り直く進む。

憶念して忘れず、慮ること多く、思惟・誦習(じゅしゅう)して憶持す。

能く施与すること多く、小利もて廻(めぐ)らす。

師と為りては、利眼にして欲を離れ、独処して婬欲少なし。

心に常に勝を懐き、断見に愛著す。

眼は常に真実を視るを悪むも、言語もて事を説かば分了す。

友に親しむこと少なく、事を為さば堅著にして堅く憶して忘れず。

筋力多く、肩胸、姝大(しゅだい)にして、広き額、斉(ととの)いたる髪なり。

心、堅くして伏し難く、疾(と)く得て忘れ難し。

能く自ら欲を離るるも、喜びて重罪を作す。

是くの如く種種なるは、是れ瞋恚の相なり。

『坐禅三昧経』7につづく

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