敦煌菩薩と『鹿母経』 竺法護『盂蘭盆経』
盂蘭盆会(うらぼんえ)の典拠(てんきょ)とされる『盂蘭盆経(うらぼんきょう)』は敦煌菩薩(とんこうぼさつ)とも月氏菩薩(げっしぼさつ)とも尊称(そんしょう)された竺法護(じくほうご 239年 - 316年)の訳です。敦煌は地名、月氏は敦煌を含む東アジアから中央アジアにいた遊牧民の氏族(しぞく)です。 竺法護は敦煌で生まれ、8歳で出家し、竺高座(じくこうざ)について学んだので「竺」姓を名乗るようになりました。そのころの中国に伝えられていた大乗経典は数少なかったので、竺法護は師とともに大乗経典を求めて西域三十 ...
明恵上人がすごい! 明恵上人の生涯1 誕生~文覚上人~人柄
明恵(みょうえ)上人(1173-1232)は、 華厳宗中興の祖。法諱は高弁(こうべん)。 栂尾(とがのお)上人。 誕生 明恵上人の父は平家の武士でした。 良い子が欲しいと 京都嵐山の法輪寺に祈願されました。 すると夢に一人の童子があらわれ、 「汝が請う所の子を与へん」と告げて 針で右耳を刺されました。 明恵上人の母は 六角堂の如意輪観音に参詣し、 『観音経』を読経しながら お堂の周囲を一万遍めぐりました。 祈願した後、お堂の前ですわったまま 眠ってしまい夢を見ました。 母は、 夢の中である人から金柑を一つ ...
ヒンドゥー教の三大神を生み出した観音菩薩
「『観音経』の三十三身とアヴァターラ」 で記したように、ヒンドゥー教では、 この宇宙は ブラフマー(梵天)により創造され、 ビシュヌ(那羅延天)が維持し、 ビシュヌが維持しきれなくなった時 シヴァが破壊し尽くし、 再生すると説かれます。 これを時間に置き換えると、 ブラフマーは過去、 ビシュヌは現在、 シヴァは未来ということになります。 現代のインドでの信仰としては、 梵天は過去の神として敬われてはいるけど、 熱烈な信者はごく少数だそうです。 また、カーストの高い富裕層は この秩序を維持し続けてほしいと ...
『観音経』の三十三身とアヴァターラ ヒンドゥー教の三大神 シヴァ ビシュヌ ブラフマー
ヒンドゥー教における最高神とは、 ブラフマー(梵天)、 ビシュヌ(那羅延天) シヴァ(大自在天)の三神です。 左からブラフマー・ビシュヌ・シヴァ これらの三神は トリムルティー(三神一体)であり、 本質的に同一であり、 いずれの神も ヒンドゥー教の最高神です。 本質的に同一ということは 三神は同じものの異なる働き、 それは同じものの 異なる顔という解釈もできます。 ですから、 一つの体に シヴァ、ビシュヌ、ブラフマーの 三面がついた ダッタトレーヤという三位一体を 端的にしめす ...
創造神だと誤解された梵天
この大宇宙は 何らかの 人格を持った存在によって 意図的に作られた ものではありません。 宇宙それ自身の潜勢力によって 形成された のです。 その潜勢力のことを 仏教用語で 業=カルマといいます。 ではなぜ ヒンドゥー教では、 梵天が 世界を創った ことになっている のでしょうか? 正量部の伝承によれば、 大梵天は 世界で一番 最初に生まれました。 それ故、 後から生まれた者たちに 創造神として 誤解されたのです。 大梵天は誤解されたまま、 梵天界に 大梵天王として 君臨しまし ...
瞑想によって体験される梵天の境地
ヒンドゥー教では、 梵天が世界を創造したとされてます。 また、世界を作り上げた梵天は この宇宙の根本原質であるといいます。 その根本原質を 「ブラフマン(梵)」といい、 また、 個々の本質を「アートマン(我)」 といいます。 アートマンは本来、 ブラフマンと同一のもの(梵我一如)なので 瞑想修行によって 梵と我を合一させること(神人合一) を実現すると 解脱できると説かれます。 しかし、 この境地は欲界からの解脱ではあっても 輪廻世界からの解脱ではありません。 瞑想のレベルでい ...