大和葛城宝山記

2019/12/21

『大和葛城宝山記』書き下し文+解説 まとめ

大和葛城宝山記(やまとかつらぎほうざんき)は、両部神道を代表する書の一つであり、大和葛宝山記、大和葛木宝山記、葛城宝山記、神祇宝山記とも呼ばれます。 奥書に“天平十七年辛酉四月一日”、とありますが、一般には鎌倉時代後期に成立したと考えられています。 大和葛城宝山記   行基菩薩撰 “大和(やまと)”は狭義には奈良、広義には日本を指します。 「葛城宝山」とは、奈良と大阪の県境に位置する葛城山(かつらぎさん)です。 撰者の行基菩薩(668-749)は、聖武天皇(701-756)・良弁僧正(689-774)・菩 ...

2019/9/26

『大和葛城宝山記』5 釈迦牟尼仏 波羅提木叉 天御中主神 天照太神 瓊瓊杵尊 乳海攪拌

はじめての方は『大和葛城宝山記』解説1からどうぞ 『大和葛城宝山記』解説4のつづき 釈迦牟尼仏、初めて菩提樹下に生まれて、無上の正覚を成ず。 初めて菩薩の波羅提木叉を結び、父母師僧三宝に孝順をなし、孝順至道の法の孝を名づけて戒と為す。 亦制止と名づく。 波羅提木叉(はらだいもくしゃ)は、梵語のプラーティモークシャの音訳。 意訳は、戒本、別々解脱、別解脱。 “制止”=戒 即ち口に無量の光明を放てり。 是の時、百億の大衆、諸菩薩、十八梵天、六欲天子、十六大国王、掌を合はせ心を至して、仏の誦する一切仏の大乗戒を ...

2019/9/26

『大和葛城宝山記』解説4 天御中主尊(アメノミナカヌシ) 大梵天王 天照皇大神(アマテラス) 観音菩薩 大日如来

はじめての方は『大和葛城宝山記』解説1からどうぞ 『大和葛城宝山記』解説3のつづき 伝に曰はく 劫初に神聖在り。常住慈悲神王と名づけ〈法語に尸棄大梵天王と曰い、神語に天御中主尊と名づく〉大梵天宮に居る。 衆生等の為に。 広大なる慈悲誠心を以てす。 ここで『大和葛城宝山記』1では違細(ビシュヌ)とされた“神聖”が、梵天(ブラフマー)であり、天御中主尊(アメノミナカヌシ)とされています。 『大和葛城宝山記』1では、違細(ビシュヌ)のヘソの蓮に生じた梵天が天御中主尊(アメノミナカヌシ)を含む八子を生じたとされて ...

2019/9/16

『大和葛城宝山記』解説3 一言主神 役行者 ワカタケル 役優婆塞 神変大菩薩

はじめての方は『大和葛城宝山記』解説1からどうぞ 『大和葛城宝山記』解説2のつづき 【読み下し文】一言主神〈飛行夜叉神の所変、孔雀王と号するは是れ也。 一乗無二の法を守護するの故に、一言主尊と名づく。故に当処を一乗の峯と名づくる也。 惟(ただ)是れ天神の降り坐します金剛坐の宝相なり。 住心品の国、仏法人法即一無弐平等の国、一切諸法、皆了、了覚、了知、正覚にして、自証三菩提の国なり。 之に因りて安国と名づけ、亦大和国と名づくる也。 我が国、昔海たる時、天、当峯に降りて、始めて国土を成じて、大日本国と名づく。 ...

2019/9/16

『大和葛城宝山記』解説2 読み下し文 タカミムスビ イザナギ イザナミ アマテラス ニニギ 一言主神

『大和葛城宝山記』解説1 のつづき 【読み下し文】極天の祖神 高皇産霊皇帝〈此れを上帝と名づく。 是の高皇産霊尊は、極天の祖皇帝に坐します也。 故に皇王の祖師也〉 『日本書紀』では“高皇産霊尊(タカミムスビのみこと)、高木神(タカギノカミ)”とも表記されます。 『古事記』では“高御産巣日神(タカミムスビのかみ)”です。 高木神という別名の通り、巨木を神聖視し、そこに神を感得したことから名づけられたと考えられています。 「産霊(むすひ)」は自然界における生産力や生成力です。 高皇産霊尊(タカミムスビ)の娘・ ...

2019/9/16

『大和葛城宝山記』解説1  読み下し文 行基菩薩 ビシュヌ

大和葛城宝山記(やまとかつらぎほうざんき)は、両部神道を代表する書の一つであり、大和葛宝山記、大和葛木宝山記、葛城宝山記、神祇宝山記とも呼ばれます。 奥書に“天平十七年辛酉四月一日”、とありますが、一般には鎌倉時代後期に成立したと考えられています。 大和葛城宝山記   行基菩薩撰 “大和(やまと)”は狭義には奈良、広義には日本を指します。 「葛城宝山」とは、奈良と大阪の県境に位置する葛城山(かつらぎさん)です。 撰者の行基菩薩(668-749)は、聖武天皇(701-756)・良弁僧正(689-774)・菩 ...

2019/7/28

『大和葛城宝山記』読み下し文

大和葛城宝山記   行基菩薩撰 神祇 蓋し聞く、天地の成意、水気変じて天地と為ると。十方の風至りて相対し、相触れて能く大水を持(たも)つ。水上に神聖(かみ)化生して、千の頭二千の手足有り。常住慈悲神王と名づけて、違細と為す。是の人神の臍の中に、千葉金色の妙宝蓮花を出す。其の光、大いに明らかにして、万月の倶に照らすが如し。花の中に人神有りて結跏趺坐す。此の人神、復(また)無量の光明有り。名づけて梵天王と曰ふ。此の梵天王の心より、八子を生ず。八子、天地人民を生ずる也。此を名づけて天神と曰ふ。 亦天帝の祖神と称 ...

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